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「ぐっ……」
カイザーファングラムは身体を回転させてテュールセイバーを拾い、テュールセイバー地面にさして杖代わりにしながら立ち上がった。
「ほぉ、まだ生きているとはしぶとい奴だ。これでトドメを刺してやる。ケルベロスバースト!!」
再び猟犬の口が開いた。
「く……破壊力が高い……このままでは…………」
「カイザーファングラム! ティールスラッシャーを使え!」
テュールソーディオンが剣状態のままカイザーファングラムに話し掛けた。
「ティールスラッシャーは駄目だ! 今のダメージではテュールソーディオン、君が耐えられなくなる!」
ティールスラッシャーはテュールセイバーを装備する事で使える威力の高い必殺技であるが、テュールソーディオンに対して反動がくる技である。
普段ならこの反動に対して影響は無いが、ダメージを負っている今ではテュールソーディオンの命と引換えに使える諸刃の剣である。
「俺の事は気にするな!! ティールスラッシャーを使わなければ、二人とも死ぬ運命になる! カイザーファングラム、お前はここで死んではならない神だ! お前はこの戦いに勝利し、遥かなる時の先で必ず起こる勇者神ヴァルキリーと巨人との最終決戦で他のヴァルキリーの中心になって戦わなければならないのだ! 人々や息吹く全てのものの可能性を護るために!!」
「…………」
カイザーファングラムには答える事が出来なかった。
「カイザーファングラム!!」
「……わかった」
カイザーファングラムは決心し、剣を真っ直ぐ構えた。
「何をごちゃごちゃ言っている! 死ね!!」
猟犬の口から再びバースト砲が発射された。
「行くぞ! テュールソーディオン!!」
「ああ!!」
カイザーファングラムは低空飛行のままガルムに突撃した。
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