― 追憶の宴 ―

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くらりと、立ちくらみにも似た目眩が俺を襲う。 (…なんで…なんで俺が犯人に……?) しかし、こうなってしまった以上もはや警察に頼る事も出来ない。 しばらく呆然としていると、慌てて警官達に駆け寄る1人の男が現れた。 「……なに?逃げた?!」 警官達は目配せをして、病院内へと駆け出していく。俺の逃走がバレたのだ。 もはやじっとしていられない。俺は急いで病院を抜け出した。 病院は近場で何度か訪れた事のある所だった。抜け出した後も俺は道に迷う事なく、真っ直ぐ自宅に向かっていた。 (警官がウロウロしているだろうから…自宅に向かうのは得策じゃない…では、どうする…?) 辺りはすっかり暗くなっていた。時計も携帯もないので今が何時なのかわからない。 (…とりあえず…咲だ…咲が無事なのか、確認したい…) そう思った俺は、一路咲の家へと向かう事にした。
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