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私はもうこんな女などさっさと忘れてしまいたい気持ちでいっぱいだ。
そのまま私は女にそっぽを向いて、女とは正反対へと横断歩道を渡った。信号がすでに黄色に点滅している。さっさと赤になってしまえばいい。もうあんな女、ひかれてしまえ。
信号が赤になる前に渡りきり、私は一度立ち止まり、深く深呼吸をした。ここまで気を取り乱されるとは思わなかった。穏便をもっとうに過ごしてきた私がここまで気を狂わされるとは、ある意味すごい女であった。
だが、本気で久々に血を吸いたいと思った。あれは、紛れもなく真実だ。
「は、きっとあの女もどこかへ消えうせたであろ――」
後ろへ振り向くと、そこに彼女は
いた。まだいた。
何だ、貴様。酔っ払いか?
何故、横断歩道で眠っている?
信号、赤だぞ?
……あの馬鹿がっ!!!!
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