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気が付けば足が彼女の元へ駆けていた。無我夢中で彼女の元へ駆けていた。
車のクラクションが鳴り響く中、彼女は血相を悪くし、倒れこんでいた。
そうだ。何故気がつかなかった。雪より白い地肌がどこにある。どう考えても体調がすぐれていない証拠ではないか。
私が彼女の元に駆けつけた時には肌が青くなってしまっており、息を荒々しく切らしていた。
「……納得してやろう……今日が厄日と言うのであれば全て納得してやるさ」
敬語を忘れ、私は女を仕方なくおぶった。軽い。これが健康な人の体重とは思えない。
「とりあえず……病院だな」
いつから私は吸血鬼離れしてしまったのだろう。ニンニクを食べる吸血鬼だなんて、もはや吸血鬼でない。
どうせ、吸血鬼離れするのであれば人間になってしまいたい。
人間にならなければ、この者の血を吸い尽くしてしまいそうだからだ。
今日は厄日。奇妙な恋な、厄日。
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