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「…………」
俺は窓側後方の席に座っていた。
周りにも同じ状況のやつがかなりいる。
教室から逃げ出したいが、それも叶わないという状況のやつ。
目の前の光景がなんと名付けられるものなのかは解っている。
しかし誰も、口を出さない。
関わったら自分がいじめられる――以前の問題。
ただ単純に、関わりたくない。
こんな漫画みたいな世界が実在するのを知ったのは、この学年になった直後だった。
高校というのは大抵にして同じ程度のレベルの人間が集う場所で、上とまでは行かなくとも下ではない、つまり中間レベルのこの学校でこんな行為があるなんて、信じられなかった。
肺が痛い。酸素を求め口を開くが、身体が求める物は入ってこない。
携帯を開き、受信ボックスに貯まったナナからのメールを読んでいく。
苦しい。
苦しい。
苦しい。
誰か助けてと、願う。
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