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丑三つ時の雑木林、鬱蒼と生い茂った草木が、一切の光を拒絶した空間を造り出していた。
しかし、その中に一ヶ所だけ、丸く光の差している場所がある。
闇の中に浮かび上がるその場所には、一種の神々しさまで感じる。
その円の中に一つの人影が見受けられた。
人影は、天に向かって両の手を伸ばし始める。
すると、手の伸ばした先、満月を跨ぐように丁度一筋の光が流れて消える。
「……コレで遂に」
人影は落ち着いた、だがそれでいて何処か興奮した感じに呟くと、光から立ち去り、溶けるように闇の中へと姿を消した。
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