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第一夜 学校
「ふぁ、ふああぁぁぁ~~」
隆盛(リュウセイ)高校1年の卯月 流(ウツキ ナガレ)は、屋上にある貯水タンクの影に、顔だけを入れ寝転がったまま大きな欠伸をした。
まだ始まって3日目だというのに、既に高校生活ギブアップ気味…
しかも今は当然の様に授業中…街中の学校にしては大きい校庭の中を、白地に青のラインの入った体操服が、サッカーボールを追って元気に走り回っている。
まぁ一部を除いてだが………
そして、ボールがネットを揺らすたびに発せられる、生徒らのカン高い歓喜や落胆の声を聞きながら、今、流は寝転がっている。
まぁ他の奴等にしてみればうるさいだけだろうが、本人にしては、そのBGMもなかなかいいもんだと一人うんうんうなずいていた。
そのたびに軽いアシメ風の前髪がうんうんと揺れ動き、瞼を攻撃する。
なかなかに楽しい。
こんなに一人の時間を目一杯楽しめる自分は、つくづく奇特だと思うが、それもまた楽しいので、特に追求はしない。
…あぁ~、やっぱする。
……あれ
………あれ
アレ?何を追求するんだっけ………まぁいっか。
ぐちゃぐちゃにシェイクされた脳内はほったらかしにして、流は太陽を探す。
まだ日は昇りきっておらず中途半端な位置、自分的には9時か10時辺りか…
「う~んジャスト9時半」
顔の位置に持って来た腕では、星空を模した文字盤の上でシンプルな白い針が動いている、言わなくてもいいが9時半のところ。
時計から目を逸らし、空を見上げると、大きな雲の塊が優雅に空を泳いでいる。
「今日も1日穏やかだな」
そういうと流は大きく伸びをして目をつむり、そのまま眠りに付いた。
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