愛妹(まないも)

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  「そーよおでんよ、あったかいうちに食べよ」 「はあい」 教育テレビの子どもみたいなはしゃいだ返事をして、妹は持っていた雑誌をソファに預け、こちらにやってきた。二人分の食器と箸を出してきて並べ、あたしたちは食卓につく。 「あったかい日のおでんってなんか贅沢だよねぇ」 「そうね、おでんつくるの簡単だからお姉ちゃん助かったし」 「あははそっちぃ?」 からかわれ、からかいながら今日の報告とか、新しいコスメの話とか、友達の猫が可愛かったとか、そんな他愛もない会話を交す。 幸福の食卓に水を差したのは他でもない、妹だった。 「お姉ちゃんあのね」 「なあに?」 食べ終わった食事を片付けていると、当番で洗い物をしている妹が不意に言った。
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