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「お……? おねえちゃん?」
へんじがない。ただのシスコンのようだ。
「ちょっとおねえちゃん?」
天使の呼び掛けにあたしはやっと意識を取り戻した。
「あ……あの……ゆ、かり……そう……よかったわ、ぬっ」
最後噛んだ。でもなんとか言い終えた。そこでやっとあたしは今日の昼の出来事を思い出した。妹効果ですっかり忘れ去ってたけど。
「あの、あー……相手は……だれなの?」
今度は声が裏返ったけどなんとか言い終えた。
待ってましたといわんばかりに眩しい笑顔で妹は答えた。
「あのねーちょーかっこいい人ぉ!おねえちゃんと同じ三年の先輩でねぇ」
三年……最悪だ。だけど頬を染めて嬉しそうにしている妹を前にしてはなにも言えない。
とりあえずマシだと思われる男の顔がいくつか思い浮かんでは消えた。
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