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ふと窓の外に目をやった。さすがに五時間目の授業の時間が迫っているため、いつもボールで戯れる男子の姿もだべる女子の姿も校庭にはない。
いないはず……
……ん?
目の端に動く点をとらえたあたしは不思議に思ってその辺りを見つめた。
誰だろ、サボリ?……くらいしか思いつかないけど。
薄い茶髪が目立つ男子生徒だ。隣にはぴたりと寄り添うようにして女子生徒が――――。
って!?
「ああああああっ!」
あたしは信じられない思いで窓ガラスにへばりついた。後ろで美代のキレ気味な声がするけど、耳に入ってなんかこなかった。
「あれ、うちの、うちのおぉっ」
「勇奈っ! ばか遅れるっ」
「うちのゆっゆっ――!」
抵抗むなしくあたしは美代に引っ張られて教室を後にした。
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