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あたしはナイトだから姫を守るのが義務!
そんなひとりよがりの使命感に、あたしは燃えていた。
「おねえちゃん!」
どき。
少し高めのソプラノがあたしをよんでいる。胸が高鳴った。心情としては、昔の少女漫画みたいに、まつげが大変なことになっている、あの感じ。
あたしは声がした方に目を向けた。
一人の女子生徒が、別学年の下駄箱からこちらに向かって走ってくる。胸元で揺れるリボンは青。高校一年生だ。ちなみにあたしたち三年は赤。
少女はおとぎ話の絵本から出てきてしまったような、メルヘンちっくでふわふわきらきらとした雰囲気を纏っていた。愛されカールの長い髪がさらさらと舞い上がるからだろうか。
可愛すぎて、危険だ。
あたしは高ぶった気持ちのまま、叫んだ。もちろん、両腕を広げてウェルカムモードにするのも忘れない。
「ゆーかーりぃぃ―――!」
あたしはその小さな妖精を腕のなかにしっかりと収めた。
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