愛妹(まないも)

8/15
前へ
/48ページ
次へ
  あたしはナイトだから姫を守るのが義務! そんなひとりよがりの使命感に、あたしは燃えていた。 「おねえちゃん!」 どき。 少し高めのソプラノがあたしをよんでいる。胸が高鳴った。心情としては、昔の少女漫画みたいに、まつげが大変なことになっている、あの感じ。 あたしは声がした方に目を向けた。 一人の女子生徒が、別学年の下駄箱からこちらに向かって走ってくる。胸元で揺れるリボンは青。高校一年生だ。ちなみにあたしたち三年は赤。 少女はおとぎ話の絵本から出てきてしまったような、メルヘンちっくでふわふわきらきらとした雰囲気を纏っていた。愛されカールの長い髪がさらさらと舞い上がるからだろうか。 可愛すぎて、危険だ。 あたしは高ぶった気持ちのまま、叫んだ。もちろん、両腕を広げてウェルカムモードにするのも忘れない。 「ゆーかーりぃぃ―――!」 あたしはその小さな妖精を腕のなかにしっかりと収めた。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

144人が本棚に入れています
本棚に追加