【夏】 ~だからながもんの方じゃねぇって言ってんだろ!?~

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俺は有希を抱き上げたまま階段を上り始めた。 「…お兄ちゃん…有希…重くない…?」 …正直…結構くる…。 30前半位あるのかな…? だが、可愛い妹にんなこと言えるわけねぇよ…。 千佳にだったら進んで言ってやるが。 「いや、重くはないぞ?でも、大きくなったな…」 「うん…大きくなった…」 前なんか1メートル前後だったしな…。今は瑞穂より少し小さいくらいだから…140ちょっとか? そんな予想をしていると、有希が俺の肩に顎を乗せて、ピッタリとくっついてきた。 「お兄ちゃん…あったかい…」 「そうか?夏だし暑苦しいだけだろ?」 「ううん…あったかいの…」 何だかよく分からんが、俺は有希の部屋の前にたどり着いた。 手が空いていなかったので、腰のベルトで器用にドアノブを下げ、有希の部屋のドアを開けた。 有希の部屋は十年前と全く変わっていない。 十年前に流行ったキャラクターのぬいぐるみなどがベッドの枕元に並んでいる。 この部屋自体がタイムカプセルのような感じだ。 俺は有希をベッドに座らせた。 「わぁ…有希のお部屋だ…!!」 有希も懐かしさからか部屋中を見回している。 と言っても、一日の大半を俺の部屋で過ごしていた有希は、あまりこの部屋を使ってなかった気がするが…。 「どうだ?」 「うん…!懐かしい…!!」 母さんが絶対残しておくって言ってたからな…。 まぁ…有希が嬉しそうなんでそれで良しとしよう。
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