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「じゃあ俺車椅子持ってくるから、ちょっとここで待っててくれるか?」
「うん…!」
俺は有希が頷いたのを確認して、一旦部屋を後にした。
昔はトイレに行く時も泣いてたのに…今ではこんなにあっさり…。
少し安心した反面、ほんの少しだけ寂しい気もした。
「おぉ悠太!車輪拭き終わったぞ!?」
下に降りると、ちょうど瑞穂が仕事を終えたところだった。
「あぁ…悪いな。あとは俺が運ぶから、瑞穂は有希の部屋で有希と話でもしててくれないか?」
「うむ!任せておけ!」
そう言って瑞穂は二階へと上がっていった。
何だか瑞穂も楽しそうだな。
そんなに妹が欲しかったんだろうか…?
まぁ…瑞穂は一人っ子だから…それを考慮すれば分からないでもないな…。
俺は車輪を拭いた雑巾を洗面台で洗い、玄関で車椅子を持ち上げて二階に上っていった。
車椅子もなかなかの重さだったが、有希よりは軽かった。
「有希…入るぞ?」
俺はドアをノックし、扉を開けて中に入っていった。
「あっ…お兄ちゃん…ありがとう…」
有希は先ほどと変わらない位置に座りながらそう言った。
…本当に…まだ歩けないんだな…。
俺は再び上がってきた罪悪感を飲み込み、有希の近くに車椅子を置いて、有希の隣に腰掛けた。
反対側には瑞穂がいて、楽しそうに笑っていた。
「なぁ有希…。有希はどれくらいこっちにいれるんだ?」
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