第二章 戦う理由 ‐Ⅰ‐

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「もう一つ質問」  アレンが子供のように手を挙げる。 「どうしてお前ら、そこまで詳しいことを知っている? 黒衆(ニグレード)のことや俺達のこと、ゼロサイドのことまで」 「スパイ活動とか、いろいろやってるんだよー」  とんでもないことを笑顔で言ってくれるアスタロトに、アレンは腰が砕けそうになった。 「スパイ活動って……。ゼロサイドのことまで知ってるのはおかしいだろ?」 「にゃは、詳しいことは、ヒ・ミ・ツ」  その態度を見た瞬間、クロノスの堪忍袋の緒がぶち切れてしまったらしい。 「いちいちムカつく話し方しやがって! ぶっ飛ばすぞてめぇ!!」  立ち上がるクロノスの顔面にドレッドの刀が再び向けられる。 「慎めと言っている」  嫌な予感がアレン達の頭をかすめる。いや、かすめるどころか大当たりかもしれない。 「うるせぇな。さっきからてめぇ、うざいんだよ。先にぶっ飛ばされてぇのか?」 「出来ると思うのか?」 「試してやろうか?」  ああ、なんだかギスギスしてきた。どうしてクロノスはいつも一言多いんだぁ、と心の中で叫ぶアレンであった。  
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