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ふかふかのベッドに寝転び、アレンは呟いた。
「どうする? 奴らの話は嘘とは思えない。問題は、俺達がどうにかできることなのかってことだ」
四人は黙り込んだ。ドレッドは強かった。アレン達は自分が協力したところで、足手まといになるのではないかという思いに駆られていた。己の力を全てねじ伏せられたように感じてやまなかった。
砂漠の夜は、都会のそれとは比べ物にならないほど澄み切っている。数え切れない星々の煌きがアレン達を照らし出す。そんな夜空を眺めながら、アテナはベランダで風に髪を靡(なび)かせていた。
「……」
「風邪引くぞ、アテナ。砂漠の夜は冷えるから」
クロノスとヴァースを部屋に残し、アレンはアテナの横に並んだ。
「とっても綺麗よね。私、やっぱり外に出てきてよかった」
アテナはベランダから身を乗り出して、風をその身いっぱいに受けながら星空を眺めた。
「久しぶりの城の外、気持ちいい大自然の息吹。形は違っても、こうやってまたアレン達と外の世界に出てこられたことが、私は凄く嬉しい。世界を見ることが出来て凄く楽しい。でも、その世界を壊そうとしてる人達が現れた」
アテナはアレンを見つめた。
「アレン、言ったよね。仲間に出会えたこの世界を壊させはしない、って。私も同じ気持ち。だから、私は……」
「あいつらに、協力……するのか」
アレンも見つめ返して言った。
「それなら、俺にも戦う理由が出来た」
アテナが、何、と訊くと、アレンは優しく温かな笑顔で答えた。
「お前を護るため」
「……ありがとう」
アテナは微笑んだが、すぐにぷくっと頬を膨らませた。
「ってアレン、私じゃ危ないってこと? 私だってちゃんと戦えるんだから」
「おっと、悪い悪い」
二人は笑い合った。星々の煌きは、二人を包んで美しかった。
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