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「やっほー! ようこそ、ANBOへー!」
足の力が抜けるような声で、ボスは歓迎の挨拶を述べた。
「お、お前がこの組織のボス!?」
「そうだよー。僕がANBOのボスであり創設者の、アスタロト・ファレックスさ」
ここまでくると、がっかりするというよりもむしろ笑いが込み上げてくる。
「その、力が抜けるような話し方、やめてくんねぇ?」
ぐったりしたクロノスが言う。
「ほぇ? だって仕方ないじゃーん。元々こういうのなんだからー」
「だあぁ、イライラする!!」
クロノスは思わず腕を振り上げた。
「ちょっ、クロノス、待────」
クロノスの腕は止まっていた。見ると、クロノスの喉元に刀が当てられていた。クロノスが少しでも動けば、一瞬で首が飛ぶだろう。ドレッドの目に容赦は微塵も無い。
「慎め、クロノス」
そう言ってドレッドは刀を鞘(さや)に戻した。
“こいつ、いつ刀を抜いた? 全然見えなかった……”
クロノスの額には冷汗が滲んでいた。
「まあまあ、ドレッドも落ち着いてー」
「あの、訊いてもいいですか?」
アテナが恐る恐る手を挙げる。
「男性……ですよね? それと、歳はいくつに?」
「にゃはは、よく訊かれるんだよねー。僕は男で、三十四歳なのだ」
“三十路(みそじ)越えてるんですか!!!”
「別に女でもいけるけどねー」
“どういう意味だあぁ!!”
コ、コワすぎる。アレン達は心の中で叫んだ。やはりついてくるんじゃなかったと後悔したが、既に帰れる雰囲気ではなかった。
「ま、待ってくれ。ドレッド、お前はいくつなんだ?」
アレンが焦った様子で訊く。
「二十四だが」
「嘘つけぇ! 明らかにお前のほうが年上だろが!!」
「嘘ではない。俺が八歳の時に十八歳だったアスタロトに拾われて、それから十六年間、ずっと付き従ってきたのだ」
「ちなみにラフィアは今、十八歳ねー」
「あ、私と同い年ね」
「結構歳の離れた兄妹だな」
「……で、私達を呼んだ理由は?」
気を取り直してヴァースが本題を持ち出す。
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