第一章 再転

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「やっほー! ようこそ、ANBOへー!」  足の力が抜けるような声で、ボスは歓迎の挨拶を述べた。 「お、お前がこの組織のボス!?」 「そうだよー。僕がANBOのボスであり創設者の、アスタロト・ファレックスさ」  ここまでくると、がっかりするというよりもむしろ笑いが込み上げてくる。 「その、力が抜けるような話し方、やめてくんねぇ?」  ぐったりしたクロノスが言う。 「ほぇ? だって仕方ないじゃーん。元々こういうのなんだからー」 「だあぁ、イライラする!!」  クロノスは思わず腕を振り上げた。 「ちょっ、クロノス、待────」  クロノスの腕は止まっていた。見ると、クロノスの喉元に刀が当てられていた。クロノスが少しでも動けば、一瞬で首が飛ぶだろう。ドレッドの目に容赦は微塵も無い。 「慎め、クロノス」  そう言ってドレッドは刀を鞘(さや)に戻した。 “こいつ、いつ刀を抜いた? 全然見えなかった……”  クロノスの額には冷汗が滲んでいた。 「まあまあ、ドレッドも落ち着いてー」 「あの、訊いてもいいですか?」  アテナが恐る恐る手を挙げる。 「男性……ですよね? それと、歳はいくつに?」 「にゃはは、よく訊かれるんだよねー。僕は男で、三十四歳なのだ」 “三十路(みそじ)越えてるんですか!!!” 「別に女でもいけるけどねー」 “どういう意味だあぁ!!”  コ、コワすぎる。アレン達は心の中で叫んだ。やはりついてくるんじゃなかったと後悔したが、既に帰れる雰囲気ではなかった。 「ま、待ってくれ。ドレッド、お前はいくつなんだ?」  アレンが焦った様子で訊く。 「二十四だが」 「嘘つけぇ! 明らかにお前のほうが年上だろが!!」 「嘘ではない。俺が八歳の時に十八歳だったアスタロトに拾われて、それから十六年間、ずっと付き従ってきたのだ」 「ちなみにラフィアは今、十八歳ねー」 「あ、私と同い年ね」 「結構歳の離れた兄妹だな」 「……で、私達を呼んだ理由は?」  気を取り直してヴァースが本題を持ち出す。
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