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『うわ、暗い…』
長い様で短い間のホフク前進(?)を終えて抜け出た先は、闇に満ちていた。
枯れきった草花
澱んだ灰色の空に
霞みがかった薄暗い景色
心なしか、空気も少し薄い気がする。
『あ…』
遠くからでも解る、巨大なひまわりの形をした時計
秒針は勿論、針も動いてない。挙句ひまわりは枯れている。
「何か用かい、アリス」
言葉の直後に現れた、緑の髪の人物…人?
はぎれを縫い合わせた様な柄の全く違う布地のポンチョに、その下からは深緑のズボンがはみ出ている。
俺が今着てる服より、少し明るめといったところか。
『あ、ありす?アリスって…俺?』
崩れない笑顔。…というより、盲目なのか?目を瞑ったまま、穏やかな笑みを浮かべる青年は言葉を続けた。
「あぁ…君以外に誰も居やしないよ。…申し遅れたが、私は芋虫。名前とは掛け離れた姿だが、どうかそう呼んでくれ。」
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