落日

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落日

乾いた二月の空が切り取られた絵画の様に落ちて行く。街は滅び、丘は泣き、何千の灯を集めたところで、天使は帰って来ない。絶えた望みを、日と闇の狭間に流し、溺れる鳥は震える舌で星屑を啄む。溺れる君は飛ぶ事を辞めない。幾度、その羽を絶望の落日に浸そうと、生きる事を選んだ君は溺れる事を辞めない。切り取られた絵画のような、落日の赤が君の羽をべたりと彩る。
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