1/1

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ

縁側に置かれた黒い長椅子にずっと寝そべっている私の死体は、静かな日の光りが嬉しくて長らく何処へもいけないでいる。庭の空高い上枝の柿の実が、一つだけグシャリと紅く落ち、群がる蟻を秋の日は一際暗く深く照らす。そんな、鮮やかな光景をじっと眺める私の死体は、乾いて枯れた秋の光に縁取られ、淡い影を微かに落とす。ライ惰にもたれた長椅子が淫靡に軋み、泣いた時、百舌鳥は鳴かず、風も鳴らず、日の光だけが陰惨に美しく死体を包む。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加