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「やめるんだ!!**!!もう、勝負はついたんだ!!」
空を飛ぶ黄金のドラゴンに乗り、兜と槍を構えた少年が叫ぶ。
「うるさい!!私は必ずこの世界を壊す!!」
傷つき倒れた黒色に光るドラゴンの傍らで、盾を構えた少女が叫び返す。
少女の格好は既に服のところどころが破れ、体も傷ついている。
しかし、少女の手に持つ盾には傷1つ無い。
「使格・シールダー・絶対防御・発動!!」
少女がそう言うと、少女の持つ盾は淡い隣光を放つ。
「やめろと言ってるのがわからないのか!?」
「私は……やめない。こんな世界、壊れてしまえばいいんだ……ねえ、##くん、##くんと私だけは助けてあげるから……二人で新しい世界に、生きよう?」
少女は肩で息をしながら少年に世界の破壊を請う。
「……悪い、**。俺は、それだけは、許さない。俺だって、この世界が完璧とは思ってないし、**の気持ちも分かる」
言いながら、少年は槍の構えを研ぎすます。
「だけど……そんな理由で壊して良い訳がないんだ。俺達はこの世界で産まれて、この世界で育ち、この世界で知り合ったんだ。そんな、裏切るような真似はできない」
少年の動きが静止した。
「命までは奪わない。だけど、ドラゴンは殺す」
少年の目付きは深刻だ。
「そう……だったら私の全てを賭けて##くんを倒す。私の考えていること……分かるよね、ドラゴン」
少女が黒竜に問うと、黒竜は首傾した。
『分かるが……そんなことをする必要は無い』
黒竜はテレパシーで少女に語り掛ける。
『私が死のう。どうせ勝ち目は無い。契約者のお前が無理して死ぬ必要も無い』
「あるよ。この世界が壊れないなら私も生きる必要は無いから」
黒竜に表情は無い。
よって、その顔から少女の意見に対する感情は見て取れない。
しかし、その返事は、
『……承知した』
少女を肯定した。
黒竜の口元に漆黒の球体が出現する。
球体は赤色の電気をおびて、禍禍しくその大きさを拡大していく。
適度な大きさになった球体に、少女が吸い込まれていく。
「おい!!**!!」
思わず少年は少女を呼び止める。
少女は足を止めることはなかった。
しかし、完全に球体に吸い込まれる前に、少年に顔を向けて、
「好き。##くん」
と言った。
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