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牡丹は薄暗い裏路地を歩いていた。しばらく歩き続けていると少しボロい建物に着いた。
チリンチリン
中は少々ホコリが被った本だらけ。その中から声がした。
「いらっしゃいってテゥルエちゃんか。毎日頑張ってて偉いね。」
本の山から気の良さそうな老人が現われた。
「店長、おはようございます。」
柔らかく微笑む牡丹ことテゥルエ。どうやらテゥルエは偽名のようだ。
牡丹は"闇風の鈴"をしているため、あまり表にはいれない。だからこのような薄暗い本屋で働いているのだ。
「体は大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だよ。」
「いいお年だから気をつけてくださいね。」
「あぁ、ありがとう。では、ワシはそろそろ医者のところに行ってくるわ。」
よっこらしょと腰をあげ、杖を持って
「店番頼んだぞ。」
「はい、いってらっしゃい。」
微笑みながら扉の向こうへ行った老人に言った。
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