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数時間後、途中で夕飯と風呂の為に中断したが、一気に読み上げたとき、時刻は12時を過ぎていた。
「あ……もうこんな時間か」
小さくアクビをしながら、雑誌をパラパラと捲ると、普段は見ない読者欄が目にとまった。
軽く読みながしていると、一つだけ気になる記事があった。
「これって…」
その記事には…
『いつも楽しく読ませてもらってます。今回は『砂漠の夜に抱かれて』が一番気に入りました。続きが待ち遠しいです。ですが、自分は男のため、回りにBLを話せる仲間がいなくて寂しい思いをしています。そこで、同じ男で俺とメル友になってくれる人を探しています。興味を持った方は、下記まで手紙を下さい。
ちなみにゲイではないので、期待はしないで下さい(笑』
とあった。
「ただいま」
記事を読んでから数日間、望はそわそわと日々を過ごしていた。
実はあの後勢いで、記事にあった住所に手紙をだしてしまったのだ。
はっとしたのは、次のひポストに手紙を投函した後だった。
「おかえり。あんたに手紙が来てるわよ」
珍しくリビングにいたらしい、和夏から手渡された手紙の差出人を見た望は、自然と胸が高鳴るのを感じた。
「あ、ありがと!」
「これ、誰からよ? あんたこんな知り合いなんていないでしょ」
和夏にも良心はあったのか、まだ封のしてある手紙の住所は、二つ隣の県。
そんな遠くの人物と、高校生の望が知り合いになる機会などあまりないだろう。
差出人の名前は『和久井 晶(わくいあきら)』と達筆な字で綴ってある。
(うわぁ………手紙返ってきたし! 和久井さんって言うんだ!!)
ドキドキしながら、その手紙の封を開けようとしたところで、和夏がいることを思い出す。
「な、何見てんだよ!? どっかいけよ~」
「望がこんなところで開けるのが悪いんじゃない。で、誰よ和久井って?」
手紙を奪おうとする和夏の魔の手から逃れるように、自室に逃げ込むが、その一歩手前で手紙を奪わた。
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