知り合い未満

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「返せよ!!」  和夏に飛び付くが10センチも背の高い姉に手が届くわけもなく、 「誰に向かって言ってるのかしら? お姉様に隠し事なんて生意気よ」 「たかが四年早く生まれたぐらいで、威張るな!!」 「あら? そんな事言ってると、もうBL本買って来てあげないからね。来月はたしか…望が愛読してる作家の新刊が出るはずよね~?」  勝ち誇った顔で手紙をヒラヒラと、望の目の前にちらつかせる。 「…足元みやがって……」 「こんな事で脅せるの望ぐらいだけどね~。小説買うぐらいなんてことないのに」 「男のオレには大問題なんだよ………。 分かったよ…言うからそれ返して…」  昔から勝てたためしの無い姉に刃向かった自分が悪かったんだと、情けない納得の仕方をして、姉から手紙を取り戻す。 「この前の雑誌の読者欄でメル友募集してた人に手紙を出したんだよ。この手紙はその返信」  もういいだろ。と部屋に入ろうときくびを返すと、和夏の嬉しそうな叫び声。 「いゃぁ~ん! サークルのメンバーに報告だわ!!」 血の繋がった姉の奇怪な行動に頭を抱えつつ、 「ちょっとまて、姉貴のサークルってたしか…」 「そうよ~BL研究同好会。あの雑誌に男性が投稿するなんてなかなかないじゃない。だから皆で盛り上がってたのよ~」 「も…盛り上がったって、姉貴達には関係ない事だろ?」 「有るわ! だってネタになるじゃない」  力一杯言いはなったその言葉に、これ以上付き合いきれないと思ったのか、  望は違う世界に行ってしまった和夏に気付かれないように、そうっと部屋に入って鍵を閉めた。
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