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To :和久井晶
Sub:滝川望です
本文:
手紙読みました。
こちらこそ、オレで良ければよろしくお願いします(笑
オレの事は望で良いですよ。その代わり晶さんって呼ばせてください。
『砂漠の夜に抱かれて』のその後ですか?
オレ的には~アルジームにもうちょっと頑張ってもらって、信一郎を日本まで拐いに来る。とかが良いですよ!
やっぱり攻めは少し強引な位が男らしくて好きですね。
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初めてのメールを送ってから数日。
晶のメール返信は意外に早く、又望も今までにないマメさを発揮したため、晶用に振り分けたフォルダーの中には数日で100件名を超えるメールがたまっていった。
「の~ぞ~み! 昼飯買いに行こうぜ。…って、おまえこの頃よくメール打ってるよな?」
今もまた、授業中に来ていたメールの返信を打とうと携帯を眺めていた望は、肩を叩かれた振動に声をたてた。
「うわぁ!! …って吉岡~後ろから来んなって言ってるだろ。オレがショック死したら化けて出てやる!」
「おおげさだなぁ。で? 彼女出来たなら俺に紹介しろよな~」
がしっと、力強く肩をだかれ、望は迷惑そうに眉を潜める。
高校に入って、初めて望に声をかけてきた、吉岡徹(よしおかとおる)は、知り合って半年たった今では、望の一番の親友となっていた。
「んなわけあるかよ。メル友だよ」
つい最近始めたのだと言えば、
「メル友~? おまえってそんなキャラだっけか? ………相手はやっぱり女だよな」
「男だよ、悪いか?」
「お~と~こ~? 男のメル友なんて、色気ねぇなぁ~第一どんなこと話題にすんだよ?」
そう言う吉岡は友達も多いらしく、他の学校に行った同級生や先輩と男女問わず、メールでやりとりしているようだった。
「なにって………趣味についてだよ…」
「趣味? 望ってなんか趣味あったっけ。部活も帰宅部だし、スポーツも芸能人にも興味ないだろ?」
「ひでーな、そんなふうに言うと、何の取り柄もない面白味のない人間みたいじゃないか。………読書だよ」
そう言うと、吉岡は大袈裟に驚いてみせた。
「読書だぁ~? だって俺、望が本なんて持っているの見たことねーよ。うっそだろ~~っぐふ」
(………人が正直に答えてやってんのに…)
ひどい反応を示した親友のみぞおちに軽く拳を叩きつけ、望はきくびをかえした。
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