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From :和久井晶
Sub:とつぜんですが
本文:
今月末頃に、望君の家の近くにいきます。
どうせだから、合いませんか?
望君に町を案内してほしいな。
だめかな?
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「………はっ?」
そのメールの着信があったのは、吉岡に拳をくらわせて、食堂で昼飯食べていた時だった。
目の前には、ちゃっかり吉岡が座っている。
「なに? メル友からの返信か。あれだよな、読書が趣味なやつなんだろ~。きっとねくらなやつだぜ」
「吉岡…さっきからつっかかってくるけどなんなんだよ? そのせいで食堂に来るのも遅れたし」
普段の吉岡少年は、もっと明るく、嫌味のない真っ直ぐな性格をしている。
だが、今日は虫の彼は虫の居所が悪いのか、やけにつっかかった物言いをする。
そのせいで、先ほども望は食堂に来るのが遅れ食べたかったAランチが売り切れる。という事態におちいったのだ。
「……別に~俺の望ちゃんが何処の馬の骨とそ知れない男に、横からかっさわれるかと思うと~いじけたくもなるだろ~」
あきらかに本気ではない、ふざけたような口調で言いながら、目の前の少しのびかけたうどんをすする。
「ほんとおかしい」
「………きにすんな。俺にも色々と事情があるんだよ…」
いつもと違う友人を不審に思いながら、本人がそう言うならば、あえて突っ込むこともないかと、望は再び携帯画面に目をやった。
(…やっぱり「会わないか」って書いてあるよな? うわ~マシか!? ってか、どうすんだよ俺。何時かは会うこともあるかな~とかは思ってたけど、ちょっとはやくないか?)
望は目の前のBランチが冷めるのも忘れてただただ携帯画面を睨み付けた。
「メル友に夢中になるのはいいけど…もうすぐ昼が終わるぜ?」
吉岡の有難い忠告に携帯の時計部分をみやれば、後10分で昼休みが終わる時間になっていた。
「うわぁぁ俺一口しか食べてないじゃないか~~」
我に返った望は携帯は一時おいておいて、目の前の問題から片付けることにした。
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