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『おはようございま~す』
『おはよう、みこちゃん』
会社に行っても、何も変わらないなぁ。いままでと一緒じゃん。
父親が社長で、兄が専務と典型的な同族会社。私は、高校卒業からずっーと経理を担当。母親が早く亡くなってから、私がこの家の主婦だった。兄が結婚して兄嫁が主婦になって間もなく私が嫁いだ。早いもので、もう20年かぁ。
『お姉さん、おはよう』
『みこちゃん、おはよう。片付け終わった?』
『うん、なんとかね。独り暮らしの荷物なんて、少ないから…』
『あぁ、そ~か。ごめん、変な事言っちゃった』
『何言ってんの、私が気にしてないんだから、気をまわさないの。さあ、仕事、仕事』
兄嫁は、私より3歳上。結構、仲が良い方かな。母親がいなかったから、良い相談相手になってくれた。今回の離婚も、兄嫁のバックアップでもめる事もなく、スムーズに話が進んだ。私の良い理解者だなぁ。
『みこちゃん、現場へ持って行く書類は?』
現場監督の悟郎さんが私を覗きながら、やってきた。
『悟郎さん、これお願い』
『な~んだ。独身になっても、みこちゃん全然変わらないな』
『1日2日で、変わらないよ。早く行きなさいよ』
『はいはい、行って来ます』『行ってらっしゃい、お願いね』
みんな変に、勘ぐり過ぎだよ。私は、全然平気なのに。さあ、仕事しよう。
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