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さて、仕事終了。これから、買い物して帰ろう。
『みこちゃん、帰りかい?』
と悟郎さんが声をかけてきた。
『そうよ。買い物してから帰るの。悟郎さんも終わり?』
『ああ、今日は帰りさ。俺も買い物付き合おうか?荷物持ちが必要だろう?』
『えぇ、悪いからいいわよ。独りで大丈夫だから…』
(どうしよう、結構荷物多くなるよなぁ。)
『俺、帰っても一人だから、暇だし…気にすんなよ』
『じゃあ、お願いしちゃおうかな』
(助かった。これで、沢山買いこめるな。あれ、悟郎さん、一人って、どうしてだろう。まあ、いいか…)
『さあ、行こう。🚗いいんかい?』
『大丈夫よ。明日休みだし、ゆっくり散歩しながら取りに来るから』
悟郎さんの🚗で、近くのスーパーまで行く事になった。
『冴ちゃん、🚗置いてくね。明日取りに来るからね。お父さんとお兄さんによろしくね。じゃあ、お疲れ』
『みこちゃん、気をつけてね』
何にも聞かない所が、冴子の良いところだな。
『さあ、乗って』
然程手入れの行き届いていない、ワゴン車に乗った私は、疑問に思ってた事を切り出した。
『ねえ悟郎さん、帰っても一人って、どういう事?奥さまは?』
なるべく遠くを見ながら、言ってみた。
『俺、社長にしか言ってないけど、みこちゃんと同じ、離婚したんだ』
『えっ、いつ?』
『もう、3年になるかな』
『なんで隠してたのよ。知らなかったじゃん』
悟郎さんも私と同じ、バツイチだと思った瞬間、体の中に熱いものを感じた。親近感というか、同じ匂いというか、なんとも云えない感情が湧き出てきた。
『ごめんよ。誰にも知られたくなかったんだ。理由が理由だけに…』
それ以上、聞いてはいけないと感じた。でも、聞いてみたいという好奇心は止まらなかった。
『もし良かったら、理由聞かせて』
話をしているうちに、スーパーに着いてしまった。
『また、今度な。さあ、買い物、買い物』
はぐらかされた私は、好奇心と理性の葛藤の中、🚗から降りてカートを押し始めた。
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