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買い物から、帰ってきた私は、台所に立ちながら、悟郎さんの事を考えていた。
確か、私が高校2年の時に、悟郎さんは会社に入社したんだっけ。高校中退して、遊び廻っていた所を私の父親が拾ったって言ってたなぁ。私よりいくつ年上なんだろう。結婚したのは、10年くらい前だったかな。
人当たりのいい、腰の低い、本当に良いお父さんって感じだったのに、なんでかな?
ピンポン、ピンポン
誰だろう?陽輔かな?
『は~い』
ドアを開けたら、紙袋を持った悟郎さんだった。
『忘れ物だよ』
『わざわざ、ありがとう。気がつかなかったわ』
紙袋を受け取り、私はどうすればいいのか、戸惑った。
『お茶でも、飲んで行ってよ。凄く散らかっているけど…』
さあ、どうする。一応、独身の女性のアパートだぞ。
『いや、今日は帰るよ。それ届けただけだし、もう暗くなるしね。じゃあ、戸締まり気をつけろよ』
『あっ、ありがとう』
悟郎さん、結構紳士的じゃん。でも、話の続き聞きたかったなぁ。
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