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「あなたは生まれ変わったらはえになります」
「…はっ…え?…」
ようやく冷静になったのも束の間、哲男はまた冷静さを失った。
「嘘だろ!?おい!!ちょっ!冗談はやめろ…この俺がはえだと!?」
なんの根拠でこの俺がと言えるのかは分らないが、ぱちんと手で潰されて死んでいくはえのイメージが頭にうかんだ。
「そんな…そんなちっぽけな…俺が…はっ…う…ううぅ…あんまりだ…」
とまっていた涙と鼻水を、再びずるずると垂れ流し、醜い面がまえで嘆いた。
「あっはははははっ…あぁーふふふっはははっ」
ヒツギが腹を抱えて笑いだす
「あぁー…ふふふっ…あなたって人は…ふふふっ…何回みても笑えますねぇ。そのリアクションは死神仲間にも見せてあげたいですよ、ふふっ」
普段の哲男は、少しでも自分の事を馬鹿にされるようなものならば、すぐに暴力で制裁するような野蛮な男だが、今はそんなことよりも来世の事で頭がいっぱいだった。
「ふふっ、安心してください、今のは冗談です」
「冗談!?はえじゃないのか?」
「ええ、いまのはちょっとしたいたずらです」
あまりにも幼稚すぎる死神の対応に、哲男の怒りは爆発した。
「てめぇ、よくも脅かしやがったな!」
胸倉をつかもうとしたがその手は空をつかみ、虚しく透き通った。
「本当に学習能力というものがないんですねぇ。
なさけない…実になさけない…」
「ふざけるのもいい加減にしやがれ!おれの来世は一体なんなんだ?」
「そんなの私は知りませんよ」
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