1563人が本棚に入れています
本棚に追加
床に散乱している包丁12本のうちの1本を渋々手に取る…
包丁を手にした右手は小刻みに…いや…体全体が小刻みに震えていた…
「怖いですか?やっぱりやめますか?」
「……………………」
怖いですか?
怖いに決まってる…
だが…
ここで死ぬのを拒んで…1万回以上も死ぬ事になる…そっちの方が怖いに決まってる…
死なない為に死ぬ…哲学染みた言葉だがその言葉には全く深い意味などない…現実にそうなのだから仕方ない…
「覚悟は出来てるさ…」
「俺が今まで殺してきたように…そう…おなじように自分で死んでやるよ!!」
そうだもう泣き言など絶対に言わない
「死なない為に死んでやんよ!」
包丁の柄を両手でぎゅっと握り力を込める…
そして一呼吸…
ふぅーーーーーーーーー…
はぁーーーーーーーーー…
一度やれたんだ…やれる…
「さっきはあまりに痛すぎて、お前に助けてくれって言っちまったんだ…まぁお前がいなかったからそのまま死ねたんだが…一応…念のために…万が一にもだが…もし俺が痛みのあまり、助けてくれって言っても、助けないでくれ…無視してくれていい…そのまま死なせてくれ」
「…おおせの通りに」
よしっ……
また一呼吸…
ふぅーーーーーーーーー…
はぁーーーーーーーーー…
二呼吸…
ふぅーーーーーーーーー…
はぁーーーーーーーーー…
三呼吸…
ふぅーーーーーーーーー…
はぁーーーーーーーーー…
そして…
咆哮
最初のコメントを投稿しよう!