死後

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「溺れて窒息しました」 溺れる!? あんな小さなバスタブでどうやって溺れるというのだ!? はっ!!? 違う…違うんだ…馬鹿だ…このバスタブは俺がバスタブで女を殺したから出てきたんだ、だから全ての窒息死させて殺した殺人者がバスタブで殺したなんてありえないだろ…海に落として溺れさせて殺しただとか…おそらくそういうことだろう…そうすりゃぁこの空間に海が出来て、そこで溺れた… くそっ!!!聞いたところでどうしようも無かった… いやっ…まてよ… 「ヒツギ!このままじゃ、苦しくてとてもじゃないが我慢できずに水から顔を上げちまう、だからここを海にしてくれ!出来ないか?」 「哲男さん…それは残念ながら出来ないのですよ…殺人者は殺害された方と同じ苦しみをあじあわなければならないのです…ですから、そのバスタブで窒息死以外は認められません」 「そんなっ…」 くそったれ!やっぱり自力でやるしかねぇのか!でも出来るのか?出来る気がしねぇ …どうすりゃいいんだ… 「哲男さん…無駄話もほどほどにしてそろそろ窒息死してもらわないと…間に合わなくなってしまいますよ」 「うるせぇな!まだ1時間以上あるんだ…やるって言ってんだろ!」 「人が窒息してから死に到るまで何分かかるかご存じですか?」 今まで質問ばかりしていたのに、いきなり質問されたので驚いた… 「は?10分くらいだろ?」 「窒息してもがき苦しみ心肺停止に至るまで約10分から15分かかります…そしてそこから死亡に至るには遅くて約30分かかるのです…つまり…合計でおよそ40分、余裕を持って50分はみないと厳しいですね」 「50分だと!!?」 残り時間が1時間10分を切る…
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