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はあっははは…
流石に笑いつかれた…
数分前は死ぬほど苦しい思いをして、泣いて…もがいて…叫んで…苦しんで…嘆いて…悔やんで…絶望して…そして本当に死んで…
それなのに…今は笑っていられる…
「ヒツギ…」
「はい」
「思えば俺は…今まで一つの事にこれほどまでに一生懸命に、頑張ったことが無かった…はははっ…死ぬのに頑張るってなんか嫌だけどな…でも…今は本当に…やり遂げた…感動してるよ…これが浄化されるってやつなんだな…来世では…もう、人を殺すなんて真似はしねぇ…自分がやったことがどれだけ苦しく…そして残酷だってことが分かったから…本当に…最低な事をしたんだ…あんな痛み…耐えられるわけがねぇのに…うぅ…っく…すまねぇ…本当に…ふぅっ…」
さっきまで笑っていたのにまた泣き出す…
「ふふふっ笑ったり泣いたりと本当に表情豊かですね」
「そうだ!俺が殺した女達に謝る事は出来るのか?」
「残念ですが…すでに転生して、記憶は消え去ってしまいました…」
「そうか…」
心の底から謝りたい気持ちで一杯だった…
本当に…すまなかった…
「来世で…謝れるか?」
「どうでしょう…分かりません…それに、その時には記憶は完璧に消えていますよ…」
「それでも…俺は謝るさ…俺が殺した14人に…」
記憶が無くなればその決意も消えてしまうだろう…しかし哲男は忘れまいと心に誓った…
「もしも転生するまえに神様にお願い出来るなら…おれはあの14人に…今度は違った形で会えるようにお願いでもしてみるかな…」
ぐーっと体を伸ばす…そして来世の事を考える…次の世界ではきっとまともな人生を送ってやろう…
「ははっ人間に生まれ変われるかも分からねぇのに…人生も何もねぇか…」
今の哲男は希望に溢れていた
絶対に…例え次の来世で人間に生まれなくても…人間に喰われる運命の家畜に生まれたとしても…子供の手でも殺されてしまう虫けらに生まれようと…それでも…必死に生きてやるよ!
「ヒツギ…本当に…世話をかけたな…いろいろ…罵倒してすまなかった…」
「ふふふっ何をいまさら…私とあなたの仲じゃないですか」
「それじゃぁ…そろそろ連れて行ってくれ…来世へ!」
哲男は希望に溢れていた…
が…
希望は…
「ふふふっあなたはまだ来世にはいけませんよ…」
希望は儚く…砕け散る
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