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「うわああああああああああああああああ!!」
響き渡る絶叫。
「あああッ!?
はぁッ!?
あれ……、俺飛び降りたよな?
生きて……、んのか?」
男は自分の体が五体満足な事に気がついたが、自分が生きているとは素直に思えなかった。
そうだ、絶対に死んだ。
間違いない。
忘れるはずがない。
この世のものとは思えないほどの痛み。
肉や骨がばらばらに砕け散って死んだ。
絶対に死んだ。
飛び降りた時の事を考えていたが、男はすぐに別の事を考える事になる。
「ここ何所だ……」
男は自分の今いる場所を確認し、どうやらやはり自分は死んだのかもしれないと思った。
そこは辺り一面が真っ白に覆われている、白しかない世界だった。
なんにもない。
白というよりは無色透明なのかもしれない。
とりあえず、今男がこうして地面に座っている事が出来るということは、床だけはある証拠だ。
しかし、それ以外はまるで何もない、何所までいっても終点がないように思える程に、地平線は続いていた。
とりあえず立ち上がってみる。
なんだよ……、これ……。
「ここが天国なのか?」
「残念ながら違います」
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