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ルルアンタは疾風のごとく走り、侍女を支える。…自分が侵入者であることを忘れながら。
「――大丈夫ぅ!?
こんな大荷物一人で持ったら危ないよぉ!!」
「え、えぇ。ありが…」
間一髪で荷物だけを階段下に落としただけで、侍女は無事だった。
惚けた風に返事を返す侍女だが、途中で城の者ではない不審者、ルルアンタを見て侵入者だと分かると「キャァ――!」と悲鳴をあげた。
それほど、大声ではなかったものの、その声を聞き付け衛兵が何事かと駆け付ける足音が聞こえ、ルルアンタは慌ててその場を立ち去る。
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