0人が本棚に入れています
本棚に追加
「んーっ……風が気持ち良いなーっ」
甲板で背伸びをするリサ
その後ろには呆れた目でリサをみるジューダスの姿が
「船に乗る前は散々嫌だと入っていたわりに嬉しそうだな」
『ほんと、なんであんなに嫌がってたんですか?』
リオンの呆れた声に続いてシャルの声がリサの頭に響く
リサはうーっ……と唸って視線を彷徨わせた
そしてごにょごにょとなにか喋る
「だってーっ…………………だもの……」
「……肝心なところをもっと大きく話せ、僕に聞こえないだろう」
リサはもう一度視線を彷徨わせると、意を決してまた口を開いた
「だって、ハイデルベルクにいって、ウッドロウが英雄だったら、みんなと……うぅん、ジューダスやシャルともう居られないんじゃないかと思ったの。折角また会えたのに……」
ぎゅっと手を握って視線を下へ向けたリサ
彼女はジューダスがリオンとして生きていた頃に、一緒に神の眼を追った仲間だった
リサは神の眼が消えると共に自分の世界へ一度帰った
そのときに人々のなかからリサの記憶は消えた
そのリサが今この世界にいるのは、なんらかの形でまた引き込まれたからだった
そこで、彼女はジューダスとなったリオンと再会することとなったのだ
「きっと旅が終わったら、私はまた皆の記憶から消えちゃう。私がいた証は何も無くなっちゃう……。おぼえていてくれたのは、ジューダスとシャルだけだったから……」
もう、わすれられてしまうのは嫌だと、零すリサ
そんな彼女にどうして良いのか、ジューダスには分からなかった
『大丈夫ですよ』
シャルがリサに声をかけた
『僕と坊ちゃんが覚えてます。今、忘れてないですから、きっと次だって忘れてませんよ。ね、坊ちゃん』
「そうだな。もっとも、お前の馬鹿さを早々忘れる事はないと思うがな」
ふっと笑ってシャルに同意してそう言ったジューダス
照れくさいのか最後に厭味が付く
「ひっどーいっ!そんな事言って覚えてなかったら殴るからねっ!」
「この僕が忘れるわけないだろう」
最初の論点からずれてギャーギャーと騒ぎ出す二人
「おーいっ!ジューダスーっ、リサーっ、何やってるのーっ?」
たったったっ、と走って近寄って来るカイル
最初のコメントを投稿しよう!