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暦は新しい年を迎えた。
直樹の誘いで五人は初詣に出掛ける事になった。
毎年四人で行く事が当たり前になっていたが、今年は無理だろう、そう思っていた飛鳥は嬉しかった。
直樹は飛鳥の為に春樹達を誘ったのだろう。
朝もまだ薄暗いうちから五人は神社へと出かけた。
両親の車を借りて直樹の運転で…と言う話も出たのだが、折角みんなで行く初詣、お喋りしながら歩くのもいいだろうと言う事になった。
目的の神社まではゆっくり歩いても三十分もあれば行ける距離。
飛鳥達は春樹と直樹の家に集まり、それからぞろぞろと歩き出した。
藍は相変わらず春樹にべったりとくっついている。
その後ろを飛鳥と直樹、悟が付いて歩く。
「何かさ、俺来ても良かったの?」
悟は遠慮がちに言う。
「何言ってんだよ、いつも四人なんだろ?寧ろ俺こそ邪魔してんだからさ」
それを直樹が否定する。
「そうだよ」
飛鳥も賺さずフォローする。
悟に変な気を使わせたくなかった飛鳥はいつもより少しだけ直樹と距離を置いた。
直樹もそれを感じてくれたらしく何も言わず、悟に話しを振っている。
「悟は彼女できないのか?」
直樹は面白そうに笑っている。
飛鳥も悟のそんな話しには興味があった。
「……俺はまだ…いいや。何つうか…友達といる方が楽しいだろうし。
って言っても三人とも相手いるんじゃねぇ」
悟は困った様に笑った。
「あたしと悟の関係は変わらないんでしょ?
何かあれば今まで通り呼び出してもいいし、一緒に出掛けたり、学校行ったり。
何も変わらないよ」
飛鳥はしっかりと悟の目を見て話した。
友達だと言う事を伝えたかった、しかし目の前を歩く二人を見ていると…友達が一体どんな物なのか、どこまで信用できるのか不安になってしまう。
ーーーー私達は変わらないーーー…
ーーーー変わりたくないーーー…
それは自分自身にも言い聞かせる様に。
間もなく五人は神社に到着した。
案の定、神社は溢れる人、人、人。
参拝する為の列は車道まで繋がっており、そこに並ぶまでにも大変な苦労だった。
あまりの人の多さに、列に並ぶ人は横に六列程になり、順番を待っていた。
五人も横一列に並びその列の最後尾に並んだ。
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