私たち4人

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家の前に着いた時、直樹は飛鳥の頬を両手で包んだ。 「何があったかわかんないけどさ、辛くなったら何でも言っていいからな?どうせ飛鳥ちゃん、春樹達には言えなくて悩んでるんだろ?俺は女の子の見方だからさ」 そう言って笑った顔は春樹にそっくりだった。 正確に言えば春樹が直樹に似ているのだろうけど。 飛鳥は止まった涙がまたこみ上げてくるのを感じた。 そのまま直樹の手の中に涙を流した。 流石にいきなり泣き出した飛鳥を見て戸惑っている様だったが、すぐに自分のシャツの裾で飛鳥の涙を拭いた。 「おっ、おい。泣くなって。」 それでも涙は余計に溢れるばかり。 自分でも止めるのは不可能だ。 直樹はそんな飛鳥を見て自分の胸に引き寄せた。 ぎゅっと強く抱きしめられていた。 春樹と同じ匂い… 飛鳥は直樹に抱きついた。 その手にぎゅっと力を込めて。 どのくらいそうしていたのか、気づくと直樹のシャツは飛鳥の涙でびっしょりになっていた。 飛鳥はひとしきり泣くと、それに気付いて慌てて直樹から離れた。 「あっ……ごめんなさいっ……シャツ………」 「ああ、いいよいいよ、こんなの」 直樹はまた笑顔になる。 そして少し間を置いてから直樹が言った事。 「飛鳥ちゃん、俺と付き合って?」 「…………えっ?」 「飛鳥ちゃんは春樹を好きなままでいい。だから契約して。俺と。期間は飛鳥ちゃんが春樹を忘れるまででいい。それまで俺のものになって。そうすれば飛鳥ちゃん、春樹のそばにいられるでしょ?」 「でも…それじゃあ………」 自分でも何を言おうとしたのか解らなかった。 「不満?」 「いや…でも直樹さんは…」 「嫌じゃないなら決まり。俺の事は直樹って呼んでよ。飛鳥…」 この日から私は直樹のものになった。 でも心は春樹、あなたに捧げたの。 私のしている事は理解できないかもしれない。 だけどこれがあなたを失わない為に私ができる事。 そうね、私の愛は歪んでいるかもしれない。
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