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※
暗い住宅街を、一人の女が走っていた。
人気は全くなく、立ち並ぶ民家からも明かりは漏れてこない。
女は焦っていた。
つい最近殺人を犯した彼女の精神は追い詰められていた。
それもある。
だが、本当の理由は、
ヒタヒタ
「…ひっ…!!」
後ろから追いかけてくる何かのせいだ。
「待てよ、犯罪者ぁ」
話し掛けて来た。男だ。
「幽霊ホテルの管理人の僕がァ…君を殺してあげるよ?」
「幽霊…ホテル…!?」
女は暫く前までまことしやかに囁かれていた都市伝説を思い出した。
犯罪者だけを狙う殺人ホテル。
勿論、この女とて信じていたわけではなかった。
だが、今は真後ろにいる。
「観念しろよぉ…」
何かを投げる音。
「あ゙ぐっ」
女の体を、結構な大きさの石が直撃した。
女は倒れた。
「ふふ…ふ…殺してあげる…殺してあげるよ…」
男がナイフをちらつかせながら近付いて来た。
女の断末魔が響く事は無かった。
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