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「何ですか?ここ?」
「“陰契課”よ。」
“陰契課”確かにプレートにはそう書かれている。が、先程見て来た壁やら天井やらと比べると少し汚れているように思える。
扉を開けて中に入ると、そこには広々としたスペースがある。
否、物が少なくて部屋がスカスカ、と言うべきだろうか。
とにかく事務用の机と椅子、そしてその上に積み上げられている膨大な書類と、本来はそれらがしまわれているであろう書類棚以外は、ほとんど何も無いのだ。
「そこに座って。」
言われるがまま椅子に座り、手錠が机の脚と結ばれてしばらくすると熱いコーヒー(スティックシュガー、ミルク、スプーン付き)が出された。
(あぁ、一応コーヒーはあるんだ…。)
一晩寒い思いをした青年は“暖かさ”という小さな幸せを噛み締めながら、ゆっくりとコーヒーを口に運んだ。
(ちなみにその時に青年が、苦い!!と言ってスティックシュガーをさらに5、6本要求し、後で青年の取り調べ記録に“甘党である”と記載されたのは、また別の話であるが…)
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