事件と少女と青年と①

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青年が一杯目のコーヒーを飲み終えた頃、扉の開く音がして一人の警官が入って来た。 「アーチェ、言われた通り持って来たぞ。」 もちろんこれは少女に対する言葉である。 警官の手に握られているのは、両端の青い綿棒が三本入った袋。 「ありがとうございます。」 袋を受け取り、アーチェは青年の前に座って、袋から綿棒を取り出した。 「口開けて。」 そう言われ青年が口を開けると、先程の綿棒が突っ込まれる。“歯”“舌”“口内の粘膜”を、それぞれの綿棒でこすり、三本とも青色のままであることを確認すると 「反応なし、あなたじゃないわね。血液反応検査より虫歯の検査した方が良いんじゃない?」 そう言って、青年のコーヒーのそばにあるスティックシュガーの袋(6本)に目を向ける。 「ありがとうございました。」 アーチェが軽く礼をすると、警官は出ていってしまった。
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