夜と少女と青年と

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―同時刻 『カツコツカツ』 こちらにも、歩いている人物がいた。16か17歳くらいの少女である。 ただ、先程の青年と違い、その足取りは、しっかりとしていて、何か目的があることがわかる。彼女の瞳は透き通った黒。落ち着いた茶色が胸の辺りまであり、分けられた前髪が凜とした顔立ちを強調している。 彼女の顔は、今は真剣そのもので、“何か”に警戒しながら、少し速いペースで歩き続けていた。 「ふぇっくしょい!!」 前方に見える曲がり角から不意に聞こえたくしゃみに、一瞬ビクッと体を硬直させるが、すぐに冷静になって、呼吸を整える。 (やっと…見つけた) 懐から銃を取り出し、それを構えながら、壁に張り付く。 幸い街灯が、彼女の真上にあるために、影で相手に自分の存在が知られることはない。 逆に相手の姿は、街灯に照らされ、その影が近付いて来るのを、彼女の側から、はっきりと見ることができる。 ゆっくりと影の動きが変わる。どうやら彼女の方にくるようだ。 今しかない。そう思って、彼女は勢いよく相手の前に飛び出した。
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