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「動かないで!!」
そう叫んで飛び出した少女の前にいたのは、耳が隠れるほどの長さの赤い髪を持つ青年。所々でフワリと毛束の浮いた髪型と、M字に分けられた長めの前髪から覗く大きめの赤い瞳が、青年の純粋な印象を引き立てている。
彼がその瞳を点にして驚いているのは、突然少女に銃口を向けられ、怒鳴られたからだ。
「ちょ、ちょっと待ってください。何で…」
「黙ってて。」
当然ながら事態を飲み込めず、説明を求めた青年だったが、それは少女の一言によって遮られた。彼はただ呆然とするのみで、少し間を置いて、少女が再び口を開いた。
「あなたを連続殺人事件の容疑者として逮捕します。無駄な抵抗はしないことです。暴れるようなら、力ずくで拘束します。」
そう言って、その手に握り締めた銃を構え直す少女。その目は、とてもふざけているようには見えない。
とはいえ、青年にとっては身に覚えのないことらしく、未だに表情は変わらず、むしろ更に驚いている。
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