事件と少女と青年と①

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『カツコツカツ』 少し速いペースで歩く少女についていきながら、青年は建物の内装をキョロキョロと見ていた。 真っ白な壁に、丁度良い明るさの白色の蛍光灯。天井(これも真っ白)に設置されている案内板も綺麗な色をしている。 (けっこう設備の整った建物かなぁ) そんなことを思いながら歩いていると、天井に“取調室→”と書かれた案内板が見えた。が、少女は方向転換して全く逆の方に歩いていく。 「え?取調室はあっち…。」 「あなたはこっち。」 青年の問いに間髪いれず答えた少女。それ以上会話をすることもなく、そのまま連れていかれる。 進むにつれて人の数が少なくなるのを青年は不思議に思いながら、やがて少女の足が止まった。
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