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それからも僕は契約を
とりまくった
逆にとれないのが
不思議でしかたなかった
静香のお腹もかなり目立ち始めて
静香は仕事を辞めた
家に帰るとちゃんと
ご飯を作って待っている
だがお世話にもうまいとは
いえない
毎月給料から生活費だけを
渡し残りはほとんど
スナックやラウンジに使った
遅く帰る度に静香は
ムッとしている
その態度にまた切れる
僕は静香の不安な気持ちも
考えることができず
怒鳴りちらした
お金が入る替わりに
大切なものを手放していった
ある日朝礼で僕は課長に
呼ばれた
「このタイピンつけろ」
と言われた
「･･･ということは？」
この会社では役職につくと
会社のタイピンを貰う
ある種ステータスである
僕は主任に昇格した
上下関係も180ﾟ変わった
原田さんや山本さんも全員
部下になった
上下関係が厳しいこの会社は
その日からすぐに言葉遣いも変わる
呼び辛かったが
「原田」「山本」と呼び
僕はサン付けで呼ばれた
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