百合の確認

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明日香が勤め始めてから、約一ヶ月が経とうとしていた。ヘルプの仕事も、客への対応も出来るようになってきた。 普通スナックはママの客をホステスでこなす中『椿』は違っていた。それぞれのホステスに客がついている。一ヶ月経つとこの客にはこの人、と分かるようになってきた。指名同伴はないものの、食事をしてからその客と同伴出勤も意外に多く、スナックと言うよりはクラブに近かった。 明日香は楽しかった。以前のような相槌をうつばかりではなく、それなりに会話も出来る様になり、来てる客が明日香の顔を覚えてくれ、実際、明日香に客もつきはじめた。 しかし、明日香は悩んでいた。百合のようなホステスになろうと思っても、中々はうまくいかない。「何が違うんだろう…何が足りないんだろう。」と自問自答の毎日だった。 そんなある日、百合と同じテーブルについていた。客が言った。「お寿司でも食べて帰ろうか、二人一緒においでよ」と誘ってくれた。いわゆるアフターだった。 店が終わると同時に近くの寿司屋に行き、軽く飲みながらお寿司をつまむ。1時間経っただろうか、帰ろうと言う事になり、客を二人で見送った後、百合が「お疲れ様、飲みに行かない?」と誘ってくれた。 「いいですね」と明日香は答え、二人で前にも行った店に入った。
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