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自宅に戻った明日香は眠れなかった。
友達の顔を立てて会っただけのに心が揺れる。
当然収入が倍にも魅力を感じた。しかし明日香にはクラブに興味があった。
スナックとは全く違う。お客様もよりクォリティが高い人達、興味がわくのは当然だった。しかも『シャレード』オーナーからの直々の誘い、何より「今の店には君が必要なんだ」と言われた言葉が耳について離れない。
「どうしよう…」
引き抜きはホステスにとっては名誉な事。街で1、2を争うクラブからの引き抜きは夜の業界では自慢にさえ出来る事だった。
しかしここで『椿』を辞めたら、育ててくれた百合に申し訳ない、又、素人だったにも関わらず、これまで見つめていてくれたママにも顔向け出来ない。やっとこれから恩返しが出来るのに…
明日香は様々な葛藤をし、外は白々と夜が明けだし始めた頃明日香は決断をする…
次の日、明日香は電話の受話器を握りしめ山崎にこう伝えた。
『椿に残ります。」そして静かに受話器を置いた。
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