No.3

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明日香は更に成長を続けていた。 売上も延び、新規の客を捕まえ、しかもその人達は必ず来店する。明日香にも自信があったし、努力も怠らなかった。 店のNo.1は相変わらず百合、No.2は1番年上でチーママも兼ねている礼子、そしてNo.3は明日香だった。No.3と言っても、月に寄っては礼子を上回る事もあった。 「後何ヶ月もすれば、明日香と同じ舞台に立つ事になるんだろうな…」 百合は感じていた。何人かのホステスを育てた中でこれほど成長めざましい人間は中々いない。百合が最初に感じた通り、素質や才能があったのだろう。何より明日香の向上心と、努力もあったのだろう… 普通は下から上がって来る者の勢いは凄い物がある。No.1でいても、その恐怖は拭えない。 しかし百合は冷静だった。明日香がNo.2になった時から戦いは始まる。その日が来るのは恐怖よりも、嬉しくもあり、楽しみでもあり、その日が早く来て欲しい。 百合自身が若い頃にそうだったように…そんな事を感じる百合だった。
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