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そんな明日香を救うのはやはり百合だった。
売上が上がっていないのは一目瞭然。しかも明日香は悩んでいる。そんな明日香に気付かない訳がない百合だった。
この世界では誰もが一度は経験する、スランプだった。見るに見兼ねた百合は明日香に「悩んでない?」と問い掛けた。明日香は目から鱗の落ちる思いだった。ライバルだと思っていた百合からかけられた優しい言葉、明日香は胸のうちを百合に伝える事にした。
「百合さん、私営業かけてもうまくいかず、客足も延びず、どうしたらいいのか…」
百合は答えた
「今の明日香は、売上の事ばかり考え、お客様の事を考えていない。No.1目指しているのは分かる、でも大事なのはそうじゃないはず、1番に考えなきゃいけないのは、お客様の事なんじゃないの?」
確かに百合の言う通りだった。売上を上げる為に無茶な飲み方をしていた。そうなるとアフターにも影響も出るし、次の日も二日酔いの日も多かった。
百合が明日香の体の事を1番に心配してくれていた。確かに明日香は調子が悪い日が多かった。手足はむくみ、病院でも肝臓が疲れ、しばらくお酒は控えるようにと言われていた。
明日香の目から一筋の涙がこぼれた。他人の体の事まで心配をしてくれ、ライバルに優しい言葉をかけられ、自分ならこんな優しい言葉はかけて上げられないだろう…
百合の器の大きさを改めて感じる明日香だった。
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