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それは──‥リブルソードという魔族と共に向こうの世界へ行く直前。
真夜子を優しい光で包むクリスタルを、黙って見ていた勇太の側に、イサが近付いた。
イサ「ユウタ」
ユウタ「イサか」
その存在に気付き、勇太は目を反らすことなく、言葉を放つ。
イサ「準備の程は?」
ユウタ「あぁ、大丈夫──‥」
そう答えて、眠る少女を包む石に、ペタリと手をつけた時──‥
それは起こった。
──ジジッ‥
イサ「!」
イサがその異変にすぐ気付いた。
イサ「……時場が歪んでいる」
ユウタ「え‥?」
イサの言葉が理解出来ず、勇太は顔をしかめた。
──ジ‥
リブル「イサ!」
ヒロ「何かおかしいぞ?!」
異変に気付いたリブルソードと裕之も、春香と共に転移して現れた!
ハル「何が起きてるの?」
不安になって、パリパリと電気音を放つ周囲を見渡しながら、春香は裕之の袖を掴み続ける。
イサはクリスタルを見つめたあと、足下の魔法陣に視線を移した。
「イサさま!リブルさま!」
「時空が──‥!」
やはり異変に気付き、駆け付けてきたのは3つ子。
ラベンダー、オリビア、サフランだった。
七人、一斉に屈んでいるイサを見た。
魔法陣に手をつけていたイサが、全員を見渡した。
イサ「どうやら、この魔法陣が原因のようですね」
立ち上がり様に、言葉を続ける。
イサ「一部マヤコ様の記憶と魔力が加わったばかりに──‥」
ヒロ「イサ」
イサ「はい」
話すイサに裕之がストップをかけた。
ヒロ「長くなりそうか?」
イサ「はい」
ユウタ「じゃあ簡潔に頼む。どういうことなんだ?」
勇太にも止められたが、気にした様子もなくイサは口を開いた。
イサ「飛びます」
──シュンッ!
八人は消えた。
真夜子を包むクリスタルと、それを支える魔法陣は静かにそこに佇むだけであった。
これより
『僕らは世界で生きている』のナレーションは終了致します。
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