ソレ

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  「…えっ?」 『…あそんで………』 弱々しい声は少しずつ大きくなり、その声と共に青白くぼやけた光に包まれた少女が姿を現した。   まだ幼い少女だった。 長い髪を後ろで二つに結び、前髪をピンで止めている。 服装はセーラー服。 非常に可愛らしい。   いきなり現れたその少女に人間は驚いていないようだった。 ごく普通に、友達のように接する。   「あそべだぁ?…………しゃあねえなぁ。なにし、ぶっ!!?!」 『ふふっ…ふふふふふ……』   顔に水をかけられた人間は声を止め、少女を睨んだ。 といっても、水で前髪がおりて目は隠れてしまったのだが。 ぽたぽたと水がしたたり落ちる。   「……てんめぇ…………やったなぁ、このっ!!」 髪をかきあげて怒鳴る。 その声は少しだけうれしそうだった。
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